今年、アジアで予定されているフォーマットは、昨年や一昨年とだいぶ様子が違っているようだ。
アジア全域で見ると、非常にエキサイティングな大型ブランドタイトル、「アメージング・レース・アジア」が6年ぶりにソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・ネットワーク・アジアのAXNに帰ってくる。
アジア地域の視聴者には初のお披露目となるメガ・コンペティション・フォーマット、「ザ・ヴォイス」アジア版の話題も盛り上がっている。
また、若干出遅れたものの、FOXネットワークグループ(FNG)が、「アジアズ・ネクスト・トップ・モデル」のシーズン5を間もなく公式発表しそうだ。この詳細は、9月中旬まで明らかにされてこなかった。
一方、シーズン2を復帰作とする「アジアズ・ゴット・タレント」や「マスターシェフ・アジア」は(まだ)出てきていない。この2つのメガ・フォーマットを現地で初公開した際に、視聴者がつかなかった訳でもなさそうなのに、である。
恐らくその理由は、単に現地のスポンサーからの出資やオリジナルコンテンツの資金/投資が不十分なために、大きなインパクトのある一、二作以上のメジャータイトルを現時点で製作できないからではないだろうか。他の理由もあり得る。複数の収益の流れを生む秘策が見つからないだけかも知れないし、或いは、アジア地域・現 地・デジタルのコンビネーションが上手く噛み合っていないのかも知れない。
いずれにしてもこのことは、アジア地域で上昇していた2015年からの著しい低下、今後の特定市場への一層の注力、幅広い地域や文化を網羅しようと多額の予算をかける地域ショー番組の削減、そして息の長いオリジナルコンテンツの共同開発を重視�...
今年、アジアで予定されているフォーマットは、昨年や一昨年とだいぶ様子が違っているようだ。
アジア全域で見ると、非常にエキサイティングな大型ブランドタイトル、「アメージング・レース・アジア」が6年ぶりにソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・ネットワーク・アジアのAXNに帰ってくる。
アジア地域の視聴者には初のお披露目となるメガ・コンペティション・フォーマット、「ザ・ヴォイス」アジア版の話題も盛り上がっている。
また、若干出遅れたものの、FOXネットワークグループ(FNG)が、「アジアズ・ネクスト・トップ・モデル」のシーズン5を間もなく公式発表しそうだ。この詳細は、9月中旬まで明らかにされてこなかった。
一方、シーズン2を復帰作とする「アジアズ・ゴット・タレント」や「マスターシェフ・アジア」は(まだ)出てきていない。この2つのメガ・フォーマットを現地で初公開した際に、視聴者がつかなかった訳でもなさそうなのに、である。
恐らくその理由は、単に現地のスポンサーからの出資やオリジナルコンテンツの資金/投資が不十分なために、大きなインパクトのある一、二作以上のメジャータイトルを現時点で製作できないからではないだろうか。他の理由もあり得る。複数の収益の流れを生む秘策が見つからないだけかも知れないし、或いは、アジア地域・現 地・デジタルのコンビネーションが上手く噛み合っていないのかも知れない。
いずれにしてもこのことは、アジア地域で上昇していた2015年からの著しい低下、今後の特定市場への一層の注力、幅広い地域や文化を網羅しようと多額の予算をかける地域ショー番組の削減、そして息の長いオリジナルコンテンツの共同開発を重視する方向に、徐々に向かっていくことを意味する。
アジアのショー番組を俯瞰してみると、地上では日本からパキスタンまでのほぼすべての市場で、国内の番組や世界的なタイトルの現地版が活気づいている。オール3メディアが日本に販売した「アンダーカバー・ボス」など、世界展開されているリアリティ・ショー番組のフォーマットがアジアに新ジャンルをもたらしている。ベトナムとタイでは、フォーマット、オリジナル作品、ブランドとのタイアップを上手く活用している。大いに盛り上がっている中国では、こうした番組を愛する者もいれば、被害者も いるが、最近の韓国と中国間の政治的な騒動の影響に注目が集まっている。
中国のスケールを考えれば、ディスカバリーなどの製作者がかつてない賭けに出るのは当然であろう。ベア・グリルスとの共同制作に1千万米ドル以上の予算を投じられ、さらに多額の予算で制作されているシーズン2では、かつてのNBCスター選手、姚明(ヤオ・ミン)や、オリンピックの競泳選手、傅園慧(フ・ヤンフイ)などの大スターをキャスティングした。
さらに、ドラマのフォーマットや知的財産(IP)の共同開発も大いに盛り上がっている。特に注目すべきは、今年の4月に発表されたCJ E&Mとエンデモル・シャイン・グループの新たな提携後に制作された最初の番組、「ザ・ソサエティー・ゲーム」だ。12 のエピソードで構成される新シリーズは、10月上旬にCJ E&MのtvNチャンネルにてプライムタイムで放送が始まる。2016年後半にエンデモル・シャインがフォーマットの世界販売を開始した暁には、世界各地で採用されることに期待を寄せている。
この提携の目的は、オリジナルのフォーマットやシリーズを共同で生み、知的財産(IP)を平等に分かち合うことである。CJ E&Mが韓国で制作された全番組を放送し、エンデモル・シャインがそれらのタイトルを世界に販売する。パートナーシップを主導するのは、CJ E&Mのメディアコンテンツビジネス担当社長であるDJ リーと、エンデモル・シャイン・グループのアジア業務担当社長であるフォティニ・パラスカキスだ。
アジアの他の地域では、国内の評価を牽引し続けている現地制作のフォーマットが活況を呈しており、権利保有者がその国際展開を推進している。
その他多数で、世界を舞台に展開されているタイトルには、日本テレビの「バーニング・クエスチョンズ!」や「ザ・キャラクター」がある。全放送時間を対象とした日本ランキングで、日本のテレビネットワークが首位を維持するのに貢献したほか、日本の放送局における世界販売の議題の中で最も重要な番組だ。
コンテンツアジアが定期的に出している本年度の現時点の最新情報では、2016年の1月から8月中旬までの間にオンエア・権利販売されたフォーマットは258本である。
今年の本数は昨年に比べてかなり多いが、フォーマットのオーナーならびに権利保有者により提供されたデータによると、今年契約が締結された取引は対前年比で平均40%以上の増加のようである。
今年の8月中旬の時点では、エンデモル・シャイン・グループがアジアのフォーマットランキングの首位を維持している。保有するタイトル/シリーズは57本で、これは今年の現時点までの間にオンエア・権利販売された全258番組の22%を占める。僅差で2位に位置するのはフリーマントルメディア・アジアで、保有するタイトル/シリーズは53本(21%)だ。2016年の現時点で、この最大手二社がアジアで保有するシリーズは、合計110本であり、アジア地域のフォーマット市場の43%近くを占める。 タルパ(Talpa)、ケシェット(Keshet)、オール3メディア(all3media)の三社が保有するのは、合計37タイトルで市場の14%だ。
今年タイトル数が最も多い国は、50タイトル以上を有するベトナムである。約40タイトルの中国がそれに続く。36本のタイは、タイトル数で三番目に大きい市場だ。カンボジアは、「マスターシェフ・カンボジア」の2シーズンと、「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア・カンボジア」を含む20シリーズ以上を有する。インドは22本で、ソニー・ピクチャー・テレビジョンのホームコメディ、「エブリバディ・ラブズ・レイモンド・インディア」や、「ビッグ・ブラザー」の4シーズンなどが国内の様々な地域に対応するために様々な言語で展開されている。
20シリーズを有するフィリピンでは、アクティブTVが制作したオール3メディアのフォーマット、「キャッシュ・キャブ・フィリピン」がソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・ネットワークス・アジアのAXNフィリピンで放送されている。
インドネシアのフォーマット市場は相変わらず元気だ。今年は、タルパの「ザ・ヴォイス」や「ザ・ヴォイス・キッズ」の現地版など、19本の番組をオンエア・権利販売している。
韓国がリードするのはドラマのアダプテーションである。今年大ヒットしたタイトルは「スカーレット・ハート」だ。ドラマ制作は、NBCユニバーサルと韓国のメディア会社であるYGエンターテインメントが共同で手掛けている。さらに韓国では、おそらく最長となるであろう、次のドラマフォーマット、ケシェット・インターナショナルの「プリズナーズ・オブ・ウォー」が控えているが、いつ、だれが、どのように展開するかについて何も最終的な発表がないまま、数年が経過している。
今年これだけの変化があった一方で、変化しなかったものもある。FOXネットワークス・グループ(FNG)のスター・ワールドが「アジアズ・ネクスト・トップ・モデル」のシーズン5に着手していて、5番目の制作会社と取り組んでいるという。このように、シー ズン毎に繰り返し新チームへの変更を余儀なくされている。今回の理由は何だろうか?シーズン4(過去最高評価を獲得したシーズン)を制作したフリーマントルメディ ア・アジアが、アジアでの制作拠点を中国、インド、インドネシアに移して、アジア地域のプロダクションチームを解体したのだ。次にFNGと手を組むのはどこだろうか。いくつか思い浮かぶが、しかし、本当のところは誰にもわからない。
2016年9月30日に公開